屋根メンテナンスの必要性と住宅の資産価値を最大化させる4つの方法
屋根は経年劣化に応じた、適切なタイミングでメンテナンスをすることで、雨漏りのリスクを低減して、屋根材の寿命を延ばすことができます。
屋根メンテナンスを行い、屋根材の寿命が延びることで、不必要なメンテナンスや修理の機会が減少し、結果的にメンテナンス費用を節約できます。
一方で、屋根のメンテナンスを怠り、劣化症状を放置してしまうと、屋根材を葺き替える(張り替える)しか選択肢が無くなり、高額な屋根リフォームが必要になります。
そのため、屋根は適切なタイミングでメンテナンスをすることが重要です。
この記事では、屋根が長持ちする屋根メンテナンスの基礎知識について解説します。
日本で普及率の高いスレート瓦のメンテナンス方法を中心に、具体的なメンテナンス方法やタイミングについて解説します。
瓦(日本瓦)屋根やトタン屋根のメンテナンス方法やタイミングも補足情報として解説しているので、屋根メンテナンスで失敗しないために、是非この記事を参考にして下さいね。
1. 屋根メンテナンスの必要性
屋根は適切なタイミングでメンテナンスすることが重要です。
屋根材の耐用年数(寿命)が最大化し、雨漏りなどの不具合が発生するリスクを最小化することができるからです。
屋根のメンテナンスを放置すると、築20年〜30年で雨漏りが発生する可能性が高まります。
雨漏りが発生すると、屋根の葺き替え(張り替え)で修理をするケースがほとんどで、高額な修理費用が発生します。
屋根の劣化を放置することで、屋根塗装でメンテナンスができる時期でも、屋根材が塗装の下地として利用できなくなり、屋根の葺き替え(張り替え)が必要になります。
このように屋根の劣化を放置すると、高額なメンテナンス費用が発生するだけではなく、雨漏りが発生するリスクが高まり建物の資産価値が著しく低下してしまうため、屋根は適切なタイミングでメンテナンスをすることが重要です。
具体的に屋根材別のメンテナンスが必要な劣化症状について見て行きましょう。
1-1. スレート屋根のメンテナスが必要な劣化症状
スレート屋根は塗料によって屋根材を保護し、防水性能を確立しているため、10年に1度を目安に屋根塗装が必要です。
スレート瓦経年劣化で下記のような劣化症状が発生します。
スレート瓦は塗料の劣化症状である、チョーキング現象のタイミングで屋根塗装をすることで、屋根材の基材(本体)を傷つけることなくメンテンスができるため屋根材が長持ちするようになります。
スレート瓦の耐用年数(寿命)は30年前後で、耐用年数が経過したスレート瓦に屋根塗装を行っても「膨れ」や「剥がれ」などの施工不良が発生するリスクが高まります。
その際は、ガルバリウム鋼板への葺き替えが一般的です。
このようにスレート瓦は10年を目安に屋根塗装によるメンテンスが必要です。
1-2. 瓦(日本瓦)屋根のメンテナスが必要な劣化症状
日本瓦の屋根は30年〜40年を目安に「葺き直し」と呼ばれるメンテナンスが必要です。
日本瓦は耐用年数(寿命)が50年〜80年と非常に長期的で、スレート瓦のように屋根塗装の必要のないメンテナンスフリーの屋根材です。
ただし、屋根内部のルーフィング(防水シート)は30年〜40年で劣化し、破れてしまい、雨漏りのリスクが高まるため、葺き直しでルーフィングを交換する必要があります。
また、屋根の棟の漆喰も経年劣化で「剥がれ」が生じるため、葺き直しの際にセットでメンテナンスをすることが一般的です。
瓦屋根のメンテナンスサイクルは下記の通りです。
このように瓦(日本瓦)屋根は30年〜40年を目安に「葺き直し」によるメンテナンスが必要です。
1-3. トタン屋根のメンテナスが必要な劣化症状
トタン屋根はスレート瓦と同様に塗装によって防水性能を確立しているため、8年〜10年を目安に屋根塗装が必要です。
特に、トタン屋根は、金属製の屋根材であり塗装が剥がれるとスグに錆が発生してしまうことから、チョーキング現象が発生したタイミングでメンテナンスをすることが理想です。
具体的にはトタン屋根は下記のような劣化症状が発生します。
トタン屋根の耐用年数(寿命)は20年〜25年で、スレート瓦と同様にガルバリウム鋼板に葺き替えるのが一般的です。
このようにトタン屋根は8年〜10年を目安に屋根塗装によるメンテナスが必要です。
2. 屋根メンテナンス方法
屋根のメンテナナンス方法は下記の4つの工法が一般的です。
- 屋根塗装
- カバー工法
- 葺き替え(張り替え)
- 葺き直し
屋根のメンテナンスは屋根材だけではなく、「棟板金」や「破風板」などの付帯部のメンテナンスが必要ですが、屋根塗装のタイミングでセットでメンテナンスをすることで足場を有効活用できるため、費用対効果の高い屋根メンテナンスを実現できます。
ここからは屋根メンテナンスで失敗しないために、屋根メンテナンスの方法について具体的に解説します。
2-1. 屋根塗装
屋根塗装は塗料によって屋根材を保護するメンテナンス方法で、屋根材の耐用年数(寿命)限界まで伸ばすことができます。
屋根塗装は塗料の種類によって耐久性や効果が異なり、屋根材の耐用年数や将来のメンテナンスサイクルを考慮して検討することが重要です。
メンテナンス費用 |
40万円〜60万円 |
耐用年数 |
10年〜15年 |
2-2. カバー工法
屋根カバー工法は、既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せるリフォーム工法で、「重ね葺き」とも呼ばれています。
スレート瓦の耐用年数(寿命)が経過した際の屋根リフォームとして施工されるのが一般的で、ガルバリウム鋼板と呼ばれる金属製の屋根材が使用されるのが一般的です。
ただし、平坦な屋根でないと施工ができないため、瓦屋根のような凹凸のある屋根形状で施工ができません。
スレート屋根に特化した屋根のリフォーム工法と理解しておきましょう。
費用相場 |
80万円〜120万円 |
耐用年数(ガルバリウム鋼板を使用) |
40年〜50年 |
2-3. 屋根葺き替え
屋根の葺き替えは既存の屋根材を撤去して、新しい屋根材に張り替えるリフォーム工法です。
瓦屋根や屋根の劣化が激しく、カバー工法が施工できない場合、屋根の葺き替え工事が行われます。
屋根の葺き替え工事もカバー工法と同様に、ガルバリウム鋼板が使用されるのが一般的です。
瓦屋根の場合、ガルバリウム鋼板に葺き替えることで屋根が軽くなり、建物全体の耐震性が向上するため、耐震リフォームとしてガルバリウム鋼板に葺き替える人も多いです。
費用相場 |
150万円〜200万円 |
耐用年数(ガルバリウム鋼板を使用) |
40年〜50年 |
2-4. 屋根の葺き直し
根の葺き直しとは、既存の日本瓦を再利用するメンテナンス方法です。
既存の瓦を撤去して、ルーフィングを交換して再度、既存の瓦を積み直す工法です。その際に、屋根の棟(屋根の頂点)や漆喰のメンテナンスも行います。
日本瓦の耐用年数は50年〜80年と長期的で、30年〜40年は屋根材として十分利用できるため、日本瓦の屋根のメンテナンスでは葺き直しによるメンテナンスが一般的です。
費用相場 |
60万円〜80万円 |
耐用年数 |
30年〜40年 |
3. 屋根メンテナンスの良くある質問
屋根メンテナンスは、業者によって高額なメンテナス方法を提案されることもあるため、施主様がある程度メンテナンス方法を把握することが重要です。
屋根塗装で十分メンテンスができるような状態でも、葺き替え工事などの高額な修理を提案されるケースも少なくありません。
そのため、屋根メンテナンスの際は、施主様が屋根の劣化状況を理解してある程度、メンテナンス方法を理解しておくことが重要です。
屋根メンテンスで失敗しないために、施主様から質問される内容をまとめているので参考にして頂ければと思います。
3-1.屋根の「葺き替え」と「塗装」のどちらを選べば良いの?
結論からお伝えすると、築年数20年〜30年のスレート屋根は、カバー工法でガルバリウム鋼板に葺き替えた方が経済的です。
ガルバリウム鋼板は屋根塗装の必要がないメンテナンスフリーの屋根材です。将来的なメンテナンスの費用が発生しないのが特徴です。
築年数20年〜30年のスレート屋根に屋根塗装を行っても、次回のメンテナンスの際に、カバー工法でガルバリウム鋼板に葺き替えるため、早い段階でガルバリウム鋼板に葺き替えた方が、1回分の屋根塗装の費用を節約できます。
このように将来のランニングコストを比較しながらメンテナンス方法を検討することが重要です。
まとめ
いかがでしたか?屋根メンテナンスの方法や時期についてご理解頂けましたか。
屋根は適切にメンテナンスをすることで、屋根材が長持ちするだけではなく、雨漏りのリスクを大幅に低減できます。
屋根メンテなナンスは雨漏りなどの無駄な修理費用を発生させないためではなく、住宅の資産価値を適切に保存するためにも必ず行うようにしましょう。
屋根メンテナンスを依頼する際は、必ず専門業者に依頼することが重要です。